高級食パンブームにより、急激に店舗数を拡大してきた『乃が美』
現在、国内外に約230店舗を構えています。
そんな『乃が美』ですが、2022年12月2日の週刊文春(@shukan_bunshun)の報道によると、複数のフランチャイズ店舗オーナーが「このままでは自己破産するしかない」ほどの状況に追い込まれているようです。
2020年あたりから高級食パンブームに陰りが見え始め、各地で徐々に閉店していっている『乃が美』が、ここにきて更に厳しい状況に追い込まれる悲痛告発。
自己破産になりかけている要因と今後の展開について、現役パン屋店長が解説していきます。
『乃が美』経営危機の要因は?
高いロイヤリティ
経営が難しくなった『乃が美』フランチャイズ店舗のオーナー。
複数のオーナーで有志の会を結成し、本社に申し入れを行ったその内容はロイヤリティの引き下げでした。
当初から売上の10%という契約内容
『乃が美』のロイヤリティは、当初から売上の10%という契約内容でした。
高級食パンブームの最中は10%のロイヤリティを支払っても、利益が残る状態だったと思います。
しかしブームが去ったいま、このロイヤリティが赤字の拡大に大きな影響を与えています。
高級食パン市場が衰退していくにつれ、フランチャイズ店舗のオーナーが幾度となくロイヤリティの引き下げ交渉をしてきましたが、『本部の収入が下がると上場に差し支える』という理由で応じてもらえなかったようです。
過去に一度だけ本部からFC店舗にロイヤリティ分の資金が補填されましたが、結局10%という割合は変わらないまま現在に至っています。
食パン開発メンバーの退社により難しくなった品質管理
『乃が美』では2022年に入ってから、社長を務めていた阪上氏が退任・食パンの開発者ら創業メンバーが次々と退社しているようです。
“乃が美の創業の味”を知るメンバーは去り、現在レシピは金庫に保管され眠っている状態。
パンの製造は季節やその日の気候、仕入れた材料等の細かい違いにより少しずつ変わってきますから、その都度微調整が必要です。
これは製パンの経験者でも難しい調整でレシピ開発をしたメンバーがいない現状は、相当まずい状態と言えるでしょう。
200を超える店舗の品質が一定に保てていないとしたら、これも大きな客離れの要因・閉店の要因となるでしょう。
《高級食パン》に対する厳しい声
SNS上では『乃が美』だけでなく《高級食パン》に対する厳しい声が多数寄せられています。
- たかが食パンでぼったくり過ぎ
- 高級食パンなんて1度食べればいいし、むしろスーパーの食パンのほうが好み
- 高い。それに尽きるだろ。
- 希少だから食べたくなる。店舗が増えていつでも買えると思うとつまんなくなってしまう。
これだけ厳しい意見があると《高級食パン》の復活はかなり厳しいかもしれませんね。
高級食パンの原価が気になる方はこちら☞《高級食パン》原価はいくら?2つのレシピを徹底比較【現役パン屋店長が解説】
増えすぎた『乃が美』
日本各地で《高級食パン専門店》が展開されており、物珍しさがなくなりつつあります。
『乃が美』が扱っている《高級食パン》は価格的に毎日購入するのは難しいです。
また1本単位での販売がメインのため、サイズが大きいにもかかわらず、賞味期限が2日前後と決して長くはないです。
日常利用ではなく特別な日の贅沢やギフト・手土産利用に対して店舗数が一気に拡大しすぎたのでしょう。
今後の《高級食パン》の行方
今後の『高級食パン専門店』の展開予想としては、ある一定の店舗数まではかなりのスピードで閉店していくと思っています。
需要に対して店舗数が拡大しすぎたのが閉店ラッシュの要因の1つです。
地域の中で高級食パンの需要と店舗数が一致した段階で閉店ラッシュは収まり、『たまに見かけるな』くらいの密度になるのではないでしょうか。
個人的には、完全に『高級食パン専門店』が日本からなくなることはないと思っています。
今後の高級食パンブームの行方について、注意深く見守っていきたいところですね。
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